東京ビックサイトで開催された 東京国際消防防災展 2023に行ってきました。
当日はすごくいい天気でした。
開催概要)
名称:東京国際消防防災展2023
主催:東京消防庁、(株)東京ビッグサイト、東京国際消防防災展2023実行委員会
会期:2023年6月15日(木)~6月18日(日)
時間:10時00分~17時00分(最終日は16時30分まで)
会場:東京ビッグサイト 東5・6・7ホール、東棟屋外展示スペース、有明西ふ頭公園沖合
料金;無料 ※事前登録制
趣旨:過去に発生した災害を教訓とした災害対策及び多様化する災害リスクを周知し、都民等の防火防災意識及び行動力を向上させるとともに、セーフシティの実現に向け、住民・企業・行政による3者相互の連携強化並びに関連技術・産業の振興を促進することを目的とする。
これは5年に1度開催される国内最大級の消防・防災に関する展示会で、前回は2018年に開催されており、今回で11回目となります。
出展参加数は326の企業や団体が予定されていました。
東京ビッグサイト東ホールの半分くらいのエリアとしては相当な出展数です。
私が参加したのは6月17日(土)です。
いつものようにりんかい線の国際展示場駅で降りて徒歩で向かいます。
東5ホールの入り口には10時30分ごろには着いていたと思います。会場はすでにかなりの来場者で子供が体験できるブースなどは既に列になっていました。
ただ事前登録制であることを知らない人も多く、入り口付近で書類に記入する姿も目立ちました。
主な展示として「消火、救急、救助、避難・誘導」、「防災・減災・災害対策」、「情報システム、通信サービス」、「その他、消防防災に関する製品・サービス」の4分野で最新の技術や注目の製品が展示されています。
この展示会は一般来場者が入場できますが、同時にビジネス展示会の側面もあります。
4日間の開催ですが、モーターショーやおもちゃショーのように目的別(ビジネス、パブリック)に来場日を分けていません。おそらくは5年に1度と言う事や遠方からの来場者もあるため、全日で参加しやすいスタイルとしているのだと思います。
そのため土曜日でしたが、スーツ姿の参加者も多く見かけました。
注目1:消防車などの実写展示
やはり1番の見どころは消防車や救急、また防災にかかわる車両などの実写展示です。
多くの人が街中で消防車が走っているシーンを見かけたことがあると思いますので、それほど新鮮味はないと思われるかもしれません。
いえいえそんなレベルではありません。
上の写真を見てください。
まず会場に入ると東5ホールに大きく展示を確保していたのが、消防車の国内シェアでトップの(株)モリタです。
モリタ以外にもとんでもない大きさのものや、普段見かけないような最新の車両や機器が所狭しと並んでいます。
実際に私も写真のフレームに収まりきらず、広角モードで撮影したものも多数あります。広角だと像がゆがむのであまり好きではないのですが、さすがに仕方ありません。大きすぎました。
中でも注目を集めていたのは「EV車」です。今回の展示会でもそうですが世界的にもEV化はトレンドの流れです。
これはモリタのEV消防車ポンプ車「MoEVius concept」でベース車両は三菱ふそうのeキャンターです。また2020年からすでに東京消防庁で採用している「EV救急車」は価格が約8,000万円で欧州販売の日産NV400がベースです。他にもバイク、移動カートのようなものまで電動化されています。
テイセン(帝国繊維株式会社)が参考出展していたのはオーストリアのローゼンバウアー社の「RT(Revolutionary Technology)」で、バッテリー駆動をメインにディーゼル搭載のPHEV車です。
また実車に関しても車両デザインも最新のトラックがベースとあって新しい意匠になっていてスタイリッシュです。
※テイセンはローゼンバウアーの日本輸入代理です。
船山株式会社は災害用車両を展示していました。ベースはメルセデス・ベンツのウニモグ(多目的作業用自動車)です。起伏の多い悪路や最大登坂傾斜は45度と、その走破性能は突出しています。軍用などに使用されるイメージも強いウニモグですが、こういった災害救助の現場でも大活躍なのです。
ウニモグと並んで参考出展されていたのは「RESPUS」という遠隔で動く消火活動用ロボットです。今後はますますロボットの分野も伸びていきそうです。
とにかく紹介しきれないほどの車両が並んでいました。
注目2:災害時の体験
展示会の来場者で多かったのがファミリー層(子供連れで参加)です。
家族で学んで楽しめる出展も多くあるのですが、商談のための展示が中心のブースなども多く見本市としての役割を併せ持つため、どうしても限られた体験ブースには長蛇の列ができていました。意外と体験要素が少ないという声も私も現場で耳にしました。
私は展示会初日の報道ニュースなどがいくつかテレビで流れたのを見ましたが、映像だけを見るとちょっと楽しい乗り物イベントの印象も受けました。もちろん説明はなされていたのですが「無料で楽しめる子供も参加可能なイベント」と見えたのではないかと思います。確かに集客と言う意味では成功です。
実際に消防車などが好きな子供には十分に楽しかったと思いますし、無料イベントなのでそれでも楽しめる要素は多かったと思います。
最近の防災体験会などで見かけるようになった東京消防庁のVR防災体験車はあっという間に整理券が無くなっていました。
放水訓練では小学生はその水圧の威力を体感するのにはピッタリな気がします。
注目3:消火・救助演技
屋外展示エリアでは東京消防庁などによる消化・救助演技が行われています。
演技時間は約20分ほどで1日に3回(最終日は2回)あるのですが、土曜日はかなり気温が高く待ち時間(早めに見やすい場所を確保する意味で)も含めると45分くらいは同じところに立ちっぱなしのため見る側にもなかなかハードです。
大きなサイレンの音と共に多数の消防車両が登場し地上や空からの救助活動が行われます。
最後は一斉に放水消化が行われます。
注目4:救急や災害などに関する最新展示
今回は326の企業や団体が参加していて、出展内容も多岐にわたります。
例えば消防や防火スーツ、最新のストレッチャー、ボート、ポータブル電源などの給電設備と言ったものまで多数ありました。
テレビで多く紹介されていたのが、このテイセンの「Vetter E-VEHICLE ISOLATION SYSTEM(電気自動車隔離システム)」です。これはリチウムイオンバッテリーの火災時にクルマそのものを冠水隔離(水没)させることで早期に消化もしくは移動させることが可能です。これは使用する水量を大きく抑える事にも寄与し、今後はこういった電気自動車社会に向けた取り組みも盛んになるでしょう。
そのほかの展示あれこれです。
正直に言えば消防や防災に関しての予備的知識などを持ち合わせているわけではありません。そのため会場では見て興味が湧くのかが私のポイントです。
実際にはより技術的な新しい試みや、これまでにない工夫や仕様の器具などもたくさんあると思うのですが、そういった部分はなかなか難しいですね。それが専門特化型イベントの本来の持ち味だと思います。
そんな中でも「お!これは」と言うのもたくさんありました。
■じぷた仕様の三菱ウィリスCJ3B-J7型 消防車
じぷたとは「しょうぼうじどうしゃじぷた」という絵本に登場する消防車のことです。
この作品は1963年に月間絵本シリーズとして発刊されて以来長く愛される人気の絵本です。展示されていたのは茨城県筑西市にあるザ・ヒロサワ・シティの消防自動車博物館(2023年オープン予定)が所有している三菱ウィリスをじぷた仕様にカスタムしたものです。
このじぷた消防ポンプ車は廃車となっていたウィリスを再生したもので、最近では2023年4月放送のテレビ東京「開運なんでも鑑定団」で鑑定額450万円の値が付いたことでも話題になりました。
なんだか最近の話のようですが、カスタムレストアされたのは2013年なのでおよそ10年前です。廃車のウィリスからここまでと感心させられるほど、大変よく作られていますので再び話題となってよかったと思います。
■災害活動用ドローン
展示ではEV化が一つのトレンドでしたが、このドローンも多くのブースに展示されていました。
野外演習でも登場していたのですが、危険な災害現場などでの活躍が期待できます。ドローンの活躍の場が増えると、操縦者の需要も多くなりそうなので今までとは違った雇用機会が生まれそうです。
とは言え私はまだドローンを1度も操作したことがありません。室内用に小型のおもちゃもいいと思いますが、出来ればそれなりのサイズで空撮などにチャレンジしてみたいです。
写真は田中電機株式会社の災害救助用ドローン「D-HOPEⅠ」です。
■四脚ロボット VISION60(Ghost Robotics製)
これも一時期テレビで見かけました。まさか会場で出会えるとは思っていなかったので少し興奮しました。
実は最初に見かけた時には睡眠中(充電中)だったので、そっとしておきました。
生で動いているのを見た感想は、俊敏であると同時に周りではしゃいでいる子供たちに全くぶつからなかったことです。
もちろんセンサーで確認しているのですが、かなりの高性能に驚きました。
このVISION60は既に米軍にも配備されているのですが、今後はこういったロボットもどんどん登場してくると思います。しかし軍用ではなく防災や消防などの平和利用で活躍してほしいとも思います。
写真は他にもたくさん撮っているので会場風景を載せておきます。
会場には3時間ほど滞在していたのですが、あちこち目移りしてしまい、効率的に回っていたわけではなかったため相当疲れました。
特に屋外では非常に天気が良くて長時間だと熱中症になりそうでした。東ホールの館内は冷房が効いており涼しく快適でした。
最終的な来場者数は会期4日間の合計で登録来場者数は65,171人、総来場者数は166,831人と発表されています。
つまり事前登録せずに当日参加した人は約10万人です。
前回2018年開催時をわずかに下回っていますが、おおむね同水準で開催できたのではないでしょうか。
数は多くないですがクリアファイルもいくつか貰えましたので満足です。
最後に大事なことですがこのイベントは5年に1度の開催ですので、予定通り開催されれば次回は2028年です。
確実に忘れていそうですが、きっとニュースなどで気が付くでしょう。