安彦良和 機動戦士ガンダム THE ORIGIN展(東所沢)その1

機動戦士ガンダム TheORIGIN展 安彦良和 原画展


2月某日、私は所沢に向けて車を走らせていた。

目的は東所沢で開催している展示イベントを観に行くためです。

結果から言えばとにかく楽しかったのですが、ぼちぼち感想などを書いていきたいと思います。


展示会場のある「ところざわサクラタウン」は武蔵野線が最寄となるのですが、私が行こうとすると乗り換えが多くて面倒なのとかなり遠回りになります。かなり迷ったのですが、Googleマップでチェックしてみると駐車スペースはそこそこありそうだとわかりクルマで行くことにしました。


■開催概要

ところざわサクラタウン開業1周年記念
安彦良和/機動戦士ガンダム THE ORIGIN展
会場:ところざわサクラタウン内 EJアニメミュージアム
前期:2022年1月22日(土)~2022年2月18日(金)
後期:2022年2月19日(土)~2022年3月21日(月祝)
通常料金:2000円


いつも展示会や原画展はワクワクします。
それでも今回のワクワク感は今までに比べても半端ないほど高いものです。

私がワクワクする3つのキーワード!

ワクワクポイント

・機動戦士ガンダム(一年戦争)
・安彦良和 漫画原画
・魅力的なキャラクターとモビルスーツ

私のガンダムとの出会いは1978年にさかのぼります。
当時はまだ学生だった私はアニメ雑誌の「アニメージュ」に公開されたガンダムの情報をワクワクして見ていたのを、ついこの前のように覚えています。
当時の出来事でそれほど鮮明に覚えているのはこのガンダムだけだと思います。


ロボットモノがとにかく大好きなただのオタク学生でした。
当時の私はどちらかと言うとキャラクターよりはメカへの関心が高く、それ以前のゲッターロボやザンボット3など長らく続くロボットブームの真っただ中で育ったことも大きく影響を受けていました。
もちろんガンダム以降もイデオン、マクロス、ボトムズ、ザブングルなど様々な作品を見続けてきました。

先日、ネットで「80年代のサンライズ制作ロボットアニメ作品はどれ?」いうアンケートがあって、アニメ関係では著名なライターの石井誠氏が「巨人ゴーグ」を挙げておられたが、私は「ザンボット3」「ボトムズ」ですね
ボトムズはトイとしても素晴らしかったです。

もちろん巨人ゴーグはすごくいい作品なのですが、ロボットアニメなのかと言われれば・・・・・確かに当時はそういう括りではあったと思います。

また個人的にはやはり同時期のタイムボカン~ヤッターマンも外すことはできません。
実は私は当時からプラモデルが大好きで良く買ってもらっていました。
比較的安価と言うことからイマイ(現アオシマ)から出ていたロボダッチシーズやアオシマのアトランジャー(今の人は知らないだろうな)などを組むことが多く、キャラクターロボットと言う流れもありタイムボカンシリーズは大好きだったのです。

ちょっと脱線し過ぎました。



最初にモビルスーツ「ザク」が公開されたときには私はすごく盛り上がっていたのですが、友人達はモノアイ(単眼)の機体に高い関心を示していなかった覚えがあります。
このモノアイのデザインの潮流はその後のメカデザインの歴史を大きく変えていったと言っても過言ではないと思います。

ただそれが同時に安彦氏との出会いと言うわけではありませんでした。いや厳密には出会いに違いはないのですが。。

今もその傾向はあるのですが、昔はより作品そのものに注目していて、作り手、監督やデザイナー、演出家など制作陣や現場にはさほど詳しく見てはいなかったのです。ガンダムはプラモデル(ガンプラ)と言う側面ではその後も継続的に買ったりしていましたが、アニメ作品と言う点ではZZ(ダブルゼータ)以降は見たり見なかったりと言う状況でした。

特に社会人になり働きだしたことでガンダムだけではなく多くの作品も含めて時間的な余裕がなくなり経済的にもゆとりがなかったことも加えて、時々鑑賞するレベルでした。
毎週放送のアニメやドラマは今のように手軽に録画できないため、見逃しも多かったですね。


そんな私が安彦氏を強く意識したのは漫画家としてです。

雑念の多い私はマンガも大好き!なのです。
いまでも電車の中で漫画雑誌を読んでいる数少ないオジサンでもああります。


安彦氏の作品の中でも「アリオン」は強く心に残りました。
神話がベースなのですが、それぞれのキャラクターがとても魅力的に描かれています。もちろんコミックも所有しているのですが、当時は特に何度も読みました。
あ、私は好きな漫画は何度も読み返す派です。

ガンダムと同時期に公開されたこのアリオンこそ、私の中での安彦良和氏なのです!!ORIGIN展の直後は難しいと思いますが、是非「アリオン展」をやってほしいです。
他にも同氏の漫画は多数所有しています。
ヴィナス戦記や、全1巻となってしまったCコート、虹色のトロツキーやオールカラーで書かれているジャンヌなど、私の本棚は安彦漫画で一杯です。

当然THE ORIGINもコミックは全巻持っています。ただし連載中からコミックを買い出し通常版をすでに全巻持っていたため愛蔵版は購入していません(そのうちゲットするかもしれませんが......)


と言うことから私の3つのキーワードにドンピシャの展示会がこのORIGIN展です。




いざ潜入です!!!

機動戦士ガンダム TheORIGIN展 安彦良和 原画展


全体は大きく7つのテーマで分けられています。

01 始動編/激闘編
02 ガルマ編/ランバ・ラル編
EX 過去編
03 ジャブロー編/オデッサ編
04 ララァ編/ソロモン編
05 ひかる宇宙編/めぐりあい宇宙編
00 OTHER WORK


機動戦士ガンダム TheORIGIN展 安彦良和 原画展


ORIGINの特徴としてはそれぞれのキャラクターの生き方や性格、史実としての解釈などが新たに加えられていることにあります。

とはいえ登場人物はある程度はアニメ版と同じです。アニメ版では主人公となる「アムロ・レイ」の成長が描かれましたが、ORIGINでは「シャア・アズナブル」をもう一つの軸に当時は描かれなかった世界も楽しむことができます。

物語の舞台はガンダムシリーズでもファーストガンダムと形容され、一年戦争と呼ばれるものです。

展示会場はORIGINの原稿で埋め尽くされていました。

マンガなのだからそのページ数原稿が存在するのは当たり前です。


ただすべての原稿が緻密に描かれ、同時に恐ろしい数のカラー原稿が展示されていました。

いったいどれほどのペースで描けばこれだけの仕事量になるのか、常軌を逸していると感じるほどの圧倒的な仕事でした!

機動戦士ガンダム TheORIGIN展 安彦良和 原画展

今回のORIGIN展で少し気になったことがありました。
事柄と言うか、アムロの幼馴染として最初から最後まで登場する「フラウ・ボウ」なのですが、展示会としては概ね見終わったころに感じたんだのだけれど、集合イラストなどで彼女は水着で描かれています。なぜだろう? 他のキャラクターはシリアスな印象なのですが、彼女だけ少し違います。

勝手な考察なのですがフラウ・ボウはこの世界の中で普通と言うか一般と言うか狂気や殺戮、復讐が渦巻く戦争の中でのそういう人たちではない基準点として描かれているのかなと改めて感じました。
彼女は物語が常に波打つ中で、ある種の基準なのかもしれません。



そしてモビルスーツとしては「ガンダム」「ザク」です。
まさかこの2台モビルスーツがガンダムを40周年に向かってけん引していくなんて、当時の私はもちろん全く気付いてなかったです。

特に新旧含めて大人気となったザクは新しい形のロボットフレームなのだと思います。
それまでのロボットアニメの概念を変えたシリアス感の形容詞的存在なのがザクです。その後のモビルスーツや他作品でのロボットにも大きく影響を与えていきます。




ガンダムの物語と言うのは戦争と言う大局的な大きな流れ「地球連邦軍 vs ジオン公国」「モビルスーツ開発競争」「宇宙~地球~宇宙」と言った舞台転換などが巧みに盛り込まれながら進んでいきます。
そして同時に「人間模様」としてそれを描くある種のミニマライズされた世界が並行軸として進んでいくことで常に飽き無い展開が図られているところがすばらしいと感じています。


赤い彗星と呼ばれるシャアの手にかかり壮絶な死を遂げる若き貴公子「ガルマ・ザビ」はシャアやザビ家との確執を物語るうえでも欠かせない人物です。またガンダムと言う作品は人物と同じくらいモビルスーツをはじめとしたメカにも注目が集まる作品です。
玩具などの商業的な役割を担っていたのは事実ですが、物語の流れを作る、もしくは人物の印象にさらなるイメージを加える点ではこれまでのロボットアニメに比べて異なる役割が与えられたと言っていいと私は思っています。

個人的にはガンダムは「登場メカにも役割を持たせた」歴史的作品だと考えています。
まあ、私の一方的な考えです。。。



例えばガルマは士官学校時代の話などはあるのですがモビルスーツで出撃するなどのシーンはありません。

ガルマ・ザビ=ガウ戦略爆撃機です。

機動戦士ガンダム TheORIGIN展 安彦良和 原画展
機動戦士ガンダム TheORIGIN展 安彦良和 原画展

当時は今ほどの兵器検証などはなかっただろうと思います。
しかしガウ戦略爆撃機は存在感も浮遊感も抜群で、特に安彦氏の描くガウは見事なでっぷり感がすごくいい!特攻していくガウこそがガルマの勇姿と言えます。

そしてガンダムと言えば「オジサン達」が大活躍するいぶし銀キャラが大量発生した作品でもあります。

その代表格の一人がモビルスーツ「グフ」を駆る「ランバ・ラル」です。
ただの歴戦のオジサンではなく内縁の妻である「クラウレ・ハモン」の存在や、街の酒場でのアムロとのやり取りなどで垣間見えるキャラクター(人間性)が相まっていまでも人気です。

ORIGINでは父親にあたる「ジンバ・ラル」とダイクンの遺児である幼き「キャスバル・レム・ダイクン(シャア・アズナブル)」「アルテイシア・ソム・ダイクン(セイラ・マス)」との関係も明かされていて、より魅力がアップしています。

そもそも安彦氏の描くオジサンはみんな魅力的なのです。

機動戦士ガンダム TheORIGIN展 安彦良和 原画展

いろんなものを背負って戦うグフはマジでカッコいいです。
やはりガンプラでも最も好きだった一つです。ただし当時のガンプラは今時のものと比べて可動範囲が狭くて全然動かないんです。きっと今の子供たち見ると驚くと思いますwww

見てわかる様にグフはザクの進化系です。
赤い彗星のシャアの駆る真紅のザクは表面的にはカラーバリエーションと言えますが、このグフは明らかに違います。ここにザクがこの作品のフレームであることの大きな意味があります。

ザクは兵器らしさを備えたモビルスーツとして認識されることで、以降に登場するモビルスーツやメカがよりトイ的な進化機体となってもコミックイメージが無いのです。


もちろん安彦氏の画力から生み出されるリアリティも大きな力を与えています。